◇「匿名の悪意」看過できず――伝える怖さ、自覚を ネット掲示板の文字を見た時、言いしれぬ不安に襲われた。「岩佐クンの歌を作ってみました」「岩佐記者を退職に追い込もう」。連載企画「ネット君臨」の初回記事(1月1日朝刊)で匿名による誹謗(ひぼう)中傷問題を取り上げて以降、私を非難する書き込みがネット上にあふれた。中傷やうそを交えてからかわれ、一時は話題にするのもいやだった。それでも、8カ月にわたって日本と海外のネット社会を取材して「匿名の悪意」を黙って見過ごすわけにはいかないと感じている。 難病の拘束型心筋症と診断された上田さくらちゃん。移植手術の費用を集める「救う会」の募金活動はネット掲示板「2ちゃんねる(2ch)」で「死ぬ死ぬ詐欺」とやゆされた。両親が当初、NHK職員だと公表しなかったことが「高給取りなのに隠した」と批判に拍車をかけ、募金活動は妨害された。ネット上の集中的な書き込みは「