『タクシー・ドライバー』(TAXI DRIVER/1976) 都会で生きていると、孤独になることがある。それは避けられない試練として存在する。 例えば東京の都心。他の場所からやって来る人々でこの都市は形成されている。彼らの目に映っているのは東京ではなく、流行都市としてのTOKYOに他ならない。東京で生まれ育ってすぐそこに帰る場所があるような人には、この感覚を理解するのは難しいかもしれない。要するに並行する同時世界。TOKYOはパラレルワールドなのだ。そこで感じる孤独はとても虚ろで、いつも群衆の中にひっそりと潜んでいる。 映画『タクシー・ドライバー』(TAXI DRIVER/1976)は、ビルや人々や喧騒に囲まれながら生きざるを得なかった独りの若者の心の葛藤を描く作品だった。ニューヨークという大都会の片隅に生きる、一人の孤独なタクシー運転手が主役の物語。脚本を書いたポール・シュレイダーは「都