『ラ・ラ・ランド』(LA LA LAND/2016) アメリカでは2016年末、日本では2017年2月に公開された『ラ・ラ・ランド』(LA LA LAND/2016)は、ミュージカル映画としては珍しく幅広い世代の間で話題になった。映画界に一筋の希望を与え、何の興味もなかった(敬遠や偏見含む)人々にミュージカル自体に関心を持たせ、SNSで世界へ拡散させたという意味でも「ミュージカル映画の新たな指標」的作品と呼んでもいい。 とは言え、ゼロ年代以降、スクリーンの中でのミュージカルは別に死に絶えたわけではなかった。我々はそれなりに楽しみ、感動していたはずだ。例えば、『レ・ミゼラブル』のような誰もが知る人間ドラマから、『ムーラン・ルージュ』(2001)や『マンマ・ミーア!』(2008)のような恋愛もの。さらには『ドリームガールズ』(2007)や『ロック・オブ・エイジズ』(2012)といった音楽もの。