『アンダー・ザ・シルバーレイク』(Under the Silver Lake/2018) アメリカ映画には「時」と「場所」が大きく作用する。何年頃? 季節は? 朝それとも夜? ニューヨーク? ロサンゼルス? それとも北部や南部?…… この“いつ・どこで”を経て魅力的な「人物」や興味深い「出来事」が描かれていく。特に場所や土地は映画全体のムードを示すこともある。誰もが特定の風景を思い浮かべるからだ。 LAは美しさと恐怖、異常なほどの富とその真逆の貧困が混在している街だ。ハリウッドヒルズには豪邸が立ち並ぶ一方、小さなアパートからその豪邸を眺めるだけの人たちもいる。 例えば、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督はある日そんなことを考えながら、『アンダー・ザ・シルバーレイク』(Under the Silver Lake/2018)の脚本を一気に書き上げた。 主人公のサムはロサンゼルスに住む33歳。
