『酒とバラの日々』(Days of Wine and Roses/1962) 『酒とバラの日々』(Days of Wine and Roses/1962)は、アルコールに溺れた夫婦が何もかもを失いながらも、最後の一滴のような愛を見つけ出して、必死に現実と未来に向き合おうとする姿を描いた名作だった。 酒や薬物やギャンブルに過度に溺れ、葛藤と苦悩を繰り返す人間の姿──これまでTAP the SCENEで紹介してきた映画の中にはそんなシーンがたくさんあったことに気づく。 例えば酒一つとっても、『バーフライ』の作家は酒のせいで都会の掃き溜めで才能を浪費する日々を送っている。『クレイジー・ハート』のミュージシャンは酒による失敗で運命の女性から愛想を尽かされる。そして『リービング・ラスベガス』の脚本家は、すでに覚悟を決めて死ぬために飲み続けていた。モンマルトルのボヘミアンたちのように禁断の酒アブサンに