『ジャンゴ 繋がれざる者』(Django Unchained/2012) ヒトラーをはじめとしたナチスの幹部たちを映画館ごと炎上爆破してしまうという、ユダヤ系の立場からの壮大な復讐制裁劇『イングロリアス・バスターズ』(2009)で、キャリア最高の興行収入を記録したクエンティン・タランティーノ監督。“史実の書き換え”なる新たな手法を見出した彼は、次作で映画オタクである自身のルーツとでもいうべき「マカロニ・ウエスタン」に取り掛かる。 「悪を裁くのは正義ではなく流れ者だ」という世界観を絶対的な美学とするこのジャンルは、言い換えれば監督としての真価が問われる極めてハードルの高い領域。だがタランティーノにとってそれは宿命であり、避けて通れない“映画道”のようなもの。 この愛すべきクレイジーな映画作家は、そこに南部の奴隷制度というアメリカの残虐な過去と向き合うことにも同時に取り組みながら、とんでもなく
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