ばあちゃんは今82歳。 現役時代は中学の家庭科の先生で、定年までしっかり勤め上げた真面目で優しい人だ。 私の名前は「芋子」としよう。 ばあちゃんの旦那であるじいちゃんは、私が高校生の時肺がんで鬼籍に入り、 婿養子だったじいちゃんが死んだことで、ばあちゃんは実の母である曾祖母と2人暮らしになった。 当時80過ぎの曾祖母はその歳まで仕立ての仕事を続けていたスーパーウーマンで、 一族の母たるそんな曾祖母に、ばあちゃんは頼りっきり。 一卵性親子かと思うくらい何をするにも一緒だった。 曾祖母はよく「あの子は優しいけどちょっとボケとるであかんわ」と心配していた。 けれど私はそんな優しいばあちゃんが大好きで、泊まりに行く度にわがままを言って好物を作ってもらっていた。 ちょっと辛い卵入りのお味噌汁。 大きくて、サツマイモがゴロゴロ入ったモチモチの鬼まんじゅう。 ちょっと分厚いけどパリパリのポテトチップス。