姉の話はいつも話半分に聞き流すのですが、記憶にこびりついた言葉が幾つかあって、その内のひとつが、 「二十歳を過ぎたら、親のせいじゃなく自分の責任」 どんなに納得できなくてもそうなんだ、と言われて、そりゃあそうだろうなあ、という気持ちと、この世は不平等だな、という気持ちがありました。 この「親」という単語は、自分に痛烈に響く言葉に置き換えるべきなのでしょう。 いじめられっ子だった私なら、いじめ、友人に裏切られたなら友人、恋人とか社会とか、表沙汰にならなかった暴力でもいいかもしれない。 小学生の時、Sくんというクラスメイトがいました。 なにが発端で始まったのかは知らないのですが、馬鹿にすることも、その子を気持ち悪がることも、学年全体が許容している子でした。 一緒に遊ぶことはなかったけれど、私はSくんに対して悪いイメージはありません。 意地悪なところがなかったし、一緒にいると周りにからかわれるの
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