ブックマーク / note.com/honnoinosisi555 (1)

  • 在野研究一歩前|本ノ猪

    「いらっしゃいませ、何名様でしょうか」 「二名ですが、あとでもう一人きます」 「かしこまりました。席へご案内します、こちらへどうぞ」 ハンバーグとステーキがメニューの大半を占めるファミレスは、日曜の夕飯時ということもあり、家族連れやカップルで賑わっている。各テーブルからは、いま運ばれてきたばかりであろう料理から、もくもくと湯気が立ちのぼる。私はその情景を見て「相変わらず、うまそうだな」と思いながら、案内された席に腰を下ろした。 隣のテーブルでは、眼鏡をかけた三十代ぐらいの女性と、幼稚園に通っているか通っていないかが不明瞭なほどの幼い女の子が、差し向かいに座っている。二人の間には、たしかこのファミレスのメイン料理の中では一番安価な「和風おろしハンバーグ」が一品置かれ、母親が丁寧にハンバーグを切り分けていくのを、女の子は、少し赤みがかった頬を小さな手で支えて、可愛らしい口を小さく開け、見つめて

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