公益財団法人政治経済研究所というところが出している『政経研究時報』2023年4月号に、去る3月13日に行った「日本の賃金が上がらない構造」という講演の概要が載っています。 Ⅰ 日本型雇用システムにおける賃金 ⑴ 雇用システム論の基礎の基礎 日本の賃金について考える前提として、まず日本の雇用システムという構造的な部分に遡って議論を始める。 日本の雇用システムの本質は雇用契約に職務(job)が明記されず、使用者の命令によって定まることである。日本の雇用契約ではその都度遂行すべき特定の職務が書き込まれるのである。つまり、日本における雇用とはジョブ型雇用ではなく、メンバーシップ型雇用である。 ⑵ ジョブ型とメンバーシップ型の対比 ジョブ型雇用では、職務を特定して雇用するので、その職務に必要な人員のみを採用し、必要な人員が減少すれば雇用契約を解除する。ジョブ型雇用では職務以外の労働を命じることは契約
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