学生とか主婦とか,また社会人でも専門職の人は,ルールに基づいて大量の事例をさばいていくという経験が乏しい。判断基準に主観を持ち込んでしまうことがどれほど業務を歪めるか,例外を認めることがどれほど全体の不満を高めるか,実感としてよくわからない。だから「特例あつかいにしてやれ」「杓子定規ではなく血の通った判断を」などと言い出す。「そこをなんとか」で済むと思っている。違うんだよ。冷厳な,ルールに基づいた判断こそが,公平であり誠実な対応でもあるんだよ。ルールに不満があるなら正当な手続であらためること。眼前の逸脱を許す理由にはならない。