■黙殺された運動の正体 在特会(ざいとくかい)。在日特権を許さない市民の会の略称。名の通り、在日コリアンをはじめとする外国人の不当な特権を主に告発する団体だ。 2007年、インターネット上の人気論客を中心に設立。現在、会員1万人と称する。活動の中心はデモ。日の丸を林立させ、標的とする朝鮮学校や在日寄りと彼らがみなす企業へ数十人で押しかけ、「ゴキブリ!」「殺す!」など、罵声を浴びせ気勢を上げる。京都と徳島では、刑事事件も起こした。 本書はこの在特会へ肉薄するルポ。著者は、創設者桜井誠からデモ参加者、その周辺の人々までを丹念に取材、大手メディアが黙殺してきた運動の実態を照らし出す。 在特会の主張は多岐。朝鮮学校無償化反対、原発即時廃止論批判などは、本紙読者諸氏にも案外正論だと受け取られよう。 だが、彼らが主に訴える、在日朝鮮・韓国人の永住権、日本名使用など「特権」の糾弾はどうか。著者は、これら