ウクライナにある人口750ほどの小さな村で、2月末に洪水が起きた。だがそれは同軍が意図的にダムを放流し、ロシアの戦車が入ってこられないようにするためだった。自国の領土やインフラを迅速に破壊する──これが、数と兵器で勝るロシア軍を挫くウクライナ流の戦法なのである。 キエフの北にあるデミディフ村では、住民が洪水の後処理に追われている。ふつうなら不幸な出来事となるはずだが、彼らはこれ以上ないほど喜んでいる。 「私たちはキエフを救ったのよ!」 退職者のアントニーナ・コストゥチェンコは、誇らしげにそう言う。彼女の居間は1.5m近くも浸水し、カビ臭い匂いが漂っている。
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