日本の郊外には、かつて住宅地として分譲されたが、ほとんど人が住まなかった「限界分譲地」が大量にある。ブロガーの吉川祐介さんは、そうした地域の実態をリポートしており、自身も千葉県横芝光町の「限界分譲地」に住んでいる。住み心地はどうなのか。吉川さんの著書『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』(太郎次郎社エディタス)からお届けする――。 周囲から完全に孤立した「限界分譲地」 住みはじめて強く実感したのは、この分譲地は周辺の地域社会から完全に孤立した状態におかれているということであった。 東京から移住してきて最初に暮らした千葉県八街市内の分譲地も、複数の空き地が目立つさびれた住宅地であったが、少なくともその分譲地は地域社会のなかにひとつの「集落」として組み込まれており、入居と同時に近所の人から自治会への加入の誘いを受けている。 戦後の再開拓地であったために近隣に寺社がなく、農村のような祭事こ