ハンセン病の隔離政策を定めた「らい予防法」の廃止から今月末で20年。その後は民法上の損害賠償請求権がなくなり、国が元患者に支払う和解一時金(補償金)も今月末が請求期限となる。このため、ようやく請求に踏み切る人がいる一方、なお差別を恐れて断念する人もいる。今も社会の目におびえる元患者らの現状を、在宅治療者の多かった沖縄で聞いた。 「夫にも子どもにもハンセン病のことは隠していた。テレビや新聞でニュースが出ても避けてきたので、補償について全く知らなかった」。那覇市の法律事務所で、一時金を受けるための提訴手続きを進める元患者女性(60代)の陳述書だ。兄弟から補償のことを聞き、迷った末に申請を決めたという。 2014年に提訴した元患者の70代男性の陳述書には「私の人生はハンセン病で挫折した。死に場所を求めてさまよったこともある」と書かれている。結婚して子どもに恵まれたが、1972年に発症。妻に別居を