ギリシャ神話は、世界誕生の物語である「創世神話」、ゼウスを主神としたオリンポスの神々が活躍する「神々の物語」、そして英雄や半神など人間が主役の「英雄の物語」からなる。 このうちの「神々の物語」は、神々の出生から恋愛、冒険談、悲話にまで及び、神々は嫉妬に諍い、意地悪も平気でする。そして「英雄の物語」では、神々が英雄たちをある時は手助けしながら、またある時には苦難を与え、気紛れに翻弄する。 神は人のようであり、人でありながら超越的な力を持つ英雄は神のようでもある。この壮大な叙事詩は、現(うつつ)と夢はどこかで溶け合っているのではないか、という錯覚をも抱かせる。 今、世界を揺るがすギリシャ危機には、「現実」を司るはずのギリシャの政治家達が夢の迷宮に迷い込みすぎたのでは、と思わせるものがある。例えば年金である。 現役世代の所得の8割を得られる年金 巨額債務を抱え、欧州通貨危機の震源地となってきたギ