◆厳しく退けられた「証言否定」 昨年12月から公開中の『否定と肯定』というイギリス映画が話題を呼んでいる。ナチスドイツのユダヤ人大量虐殺、いわゆる「ホロコースト」について研究するアメリカの歴史学者デボラ・E・リップシュタットが、虐殺の史実を否定するイギリスの学者デイヴィッド・アーヴィングについて「史実を歪曲し、文書を改ざんし…データに間違った解釈を施す男」と痛烈に批判したことで、アーヴィングに名誉棄損で訴えられるというストーリー。実話である。 イギリスでは、名誉棄損の裁判において立証責任は被告側にある。リップシュタットと弁護士たちは、アーヴィングが差別主義者であり、史実を歪曲していることを法廷で証明しなければならなくなった。『否定と肯定』は、スリリングな法廷劇を通じて、負の歴史に向き合うことの意味を問いかけてくる。 ところで、この映画を地で行くような裁判が、日本でも行なわれたことをご存知だ