東日本大震災の発生時、1日300機ものヘリコプターが、被災地の空を行き交った。 災害時に、地上の交通網が断たれればなおのこと、空からの人命救助がカギとなる。 だが、その運用は、消防、警察、自衛隊、とそれぞれ属する機関が異なるため、 すべてのヘリの運行状況を一度に把握することは困難で、現場は混乱したという―。 そんな問題を解決しようと、「空の救命ネットワーク」開発に取り組んでいるのが、 JAXA研究員の小林啓二。人工衛星を活用する小林のシステム「D(ディー)-NET(ネット)」を ヘリに搭載すれば、要救助者の位置など、上空から収集したさまざまな情報を、 各機関の本部、そしてすべてのヘリ同士でリアルタイムに共有することができる。 空の救援活動の効率を飛躍的に向上させるシステムなのだ。 もともと航空機メーカーで、ヘリの自動操縦を研究していた小林は、 災害時に役立つヘリ開発を提案。だが、会社員の立