虚構新聞に秀逸な記事がある。最後の「本紙の更なる発展のため、誤報、捏造報道のノウハウはむしろこちらが教えを乞いたいほど。最近スキューバダイビングの免許も取った」という落ちは、サンゴ事件のことだ。朝日新聞の捏造事件としては伊藤律架空会見も有名だが、植村隆記者の従軍慰安婦捏造は日韓関係を大混乱に陥れた日本の新聞史上最大の誤報だろう。 慰安婦問題を報じたのは、朝日が初めてではない。1983年に吉田清治が『私の戦争犯罪』という本で「慰安婦狩り」をやったと書き、これについては他の新聞も雑誌も報じていたが、それを裏づける証拠がないため、都市伝説の域を出なかった。1991年8月に福島瑞穂氏がマスコミに金学順の「証言」を売り込んできて、NHKなど各社もその証言は報道したが、それだけでは50年前の売春婦の話にすぎないので、そこそこの扱いだった。 ところが植村記者が、これを吉田清治の話と混同して「軍が挺身隊と