叫びの都市: 寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者 作者: 原口剛出版社/メーカー: 洛北出版発売日: 2016/08/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 私たちはすでに、釜ヶ崎的状況を生きている。そうであるなら、釜ヶ崎の記憶を喪失することは、現在に対する視座を獲得するための手がかりを手放してしまうことに等しい。(p30) このように述べる著者は、広く知られることのなかった釜ヶ崎の町と労働者・住人たちの歴史、そして生存のための運動と抵抗の歴史と記憶を、膨大な聞き取り調査と文献の検証をとおして辿って行く。 この想起と伝播自体に、この本の最大の意義がある。 たとえば、僕はこの本によって、往年の「寄せ場」の活動家たち、船本洲治や山岡強一(よく知られているように、この二人は共に非業の死を遂げた)の文章にはじめて触れたと言っていいが、その先見性は驚くべきものだと思った。 しかし