安倍首相とトランプ大統領は8月25日、首脳会談で日米貿易交渉について大枠で合意した。牛肉の関税を38.5%から段階的に削減し9%にするこなど今後、協定が締結される見込みだが、協定とは別に大豆、トウモロコシの輸入も約束したという。合意内容に不明な部分の多いが鈴木宣弘東大教授に緊急寄稿してもらった。 日米FTA交渉をめぐって、多くの報道で農産物の開放を「TPP水準にとどめた」かのように強調されているが、これは間違いである。 (1)そもそも、TPP水準が大問題だったのだから、TPP水準にとどまったからよかったかのような報道が根本的におかしい。 (2)加えて、米中貿易戦争で行き場を失った米国農産物の「はけ口」とされ、大豆、トウモロコシなどの大規模な追加輸入の約束がセットで行われたのだから、これは明らかな「TPP超え」だ。それにしても、1年間の日本の飼料用の輸入総量の3か月分近くに相当する275万t