オリンパスの損失隠しや大王製紙前会長の巨額借り入れなど、企業統治が問題視される事件が相次ぐ中、社員が不正を告発する「内部通報制度」が機能していない様子が浮かんでいる。両社とも内部に専用窓口を設けながら、社員は誰も不正を報告しなかった。企業が「勇気ある告発者」に“報復人事”で応酬する例もあり、専門家は「日本企業への不信感払拭のためにも、内部通報制度の充実は急務だ」と指摘する。(時吉達也)役員自ら骨抜きに 「内部通報制度の機能は著しく損なわれていた」 オリンパスの第三者委員会は報告書で、役員自らが通報制度を骨抜きにした様子に言及した。 同社は平成17年に内部通報制度を設けた際、外部の法律事務所に窓口を設置する案が検討されたが、損失隠しを主導したとされる山田秀雄前監査役(67)の強い反対で却下。窓口は社内に置かれ、重要情報は役員を経由して社長に報告される仕組みになった。 結局、窓口は有効活用され