このように私たちはいろいろな理由で病気を作り、重くし、本来持っている力を発揮しないで自滅していくことがあるようだ。全力で生ききる人生を求めるなら、発想を転換すべき点が多い。 身体が本来持っている力はこの社会では過小評価され、健康不安をあおる情報ばかり多い。本欄でも述べてきたように、風邪や下痢や熱や痛みなどは健康な自己調整作用なので、不安に思わず、自分の身体はよく働いて偉いと信頼し、その作用が滞らないよう協力するとよいだろう。身体への不信や不安をなくしてこそ、身体は本来の力を発揮できるものだ。 持病のある人が、助けてくれる人のいない海外生活を始めたらすっかり治ってしまうこともある。病気だとかばってもらえるというような疾病利得をできるだけなくし、病気以外の楽しみが大きい生き方を各自が選び、環境をつくっていきたい。(明治大学文学部准教授 平山満紀)