市長選の公約となった「1世帯10万円の現金給付」を巡り揺れる徳島県阿南市の市役所庁舎=同市で2024年1月26日、井上英介撮影 地方自治体の首長選挙で物価高対策などとして「現金給付」を公約に掲げた新人候補が初当選するケースが相次いでいる。給付の実施に至らず住民が不満を示す自治体もある一方で、給付に合理性がないなどとして住民訴訟となる自治体もある。バラマキとの批判もある政策が、地方財政の健全性を損なうとの懸念もある。 首長選で新人候補が現金給付を公約に掲げて現職を破ったケースは2020年以降、全国で目立つようになった。給付の目的は新型コロナウイルス禍への対応や物価高対策だ。 20年5月の神奈川県小田原市長選では、守屋輝彦氏が選挙公報に「ひとり10万円」と記載して初当選。その後「国の特別定額給付金を執行するという意味だった」と釈明し、批判を浴びた。 同年10月の愛知県岡崎市長選では、中根康浩氏