内田暁●文 text by Uchida Akatsuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSU PHOTOGRAFIA 「まだ10位の実力はついてないと思います。20番くらいかなと正直思っているので......。今の順位を守っていけば自信はついていくと思うけれど、それには時間が必要だし、プレイの内容も伴わないと」 錦織圭がそのように口にしたのは、今から約11ヵ月前の2013年6月。ウインブルドン開幕を控え、ランキングが13位へ上昇したころのことだった。シーズン当初から掲げていたトップ10に限りなく肉薄し、6月から7月にかけて、一時はランキング11位まで到達。ニューフェイスの台頭に、世界中のテニス関係者たちは色めき立った。 全仏オープンを迎える前に世界トップ10入りを果たした錦織圭 だが、当の本人は、表示される数字と自己認識に乖離(かいり)を抱え、戸惑いや居心地の悪さ