Peter Temin “The Black Death and industrialisation: Lessons for today’s South” (VOX, 4 June 2014) 経済史と開発との相互作用を高めることは、その両方の分野において有益となる可能性がある。本稿では、経済史における最近の知見が、どのように開発と関係してくるかを示す。黒死病は農業技術の改善、女性の地位の変化、賃金の上昇をもたらした。そうした展開は産業革命につながったが、技術の急成長は低所得国においては採算の合うものではない。こうした発見は、開発における根本的な問題は賃金を低く抑える人口パターンであるという可能性を示唆している。 経済史と経済開発は、両分野ともに本質的には経済発展の研究であるがために、その相互作用を高めることは双方にとって有益となるだろう。両者の違いは、経済史が高賃金国に焦点を当てている