タイラー・コーエンが表題のブログエントリ(原題は「What’s the natural rate of interest?」)で自然利子率について7つの論点を挙げた。以下はその概要。 デビッド・デビッドソンとクヌート・ヴィクセルは20世紀初頭に自然利子率の概念について論争した。その論争ではデビッドソンが勝ったというのが大多数の見解で、ヴィクセルでさえそれを認めていると見られる。ある金利が完全雇用と安定的なインフレを両立させるか否かは生産性成長率に依存する、というのはその一例。両者を両立させるような単一の金利は存在しない可能性もある。 ケインズは自然利子率の概念を否定することに心血を注いだ。彼はそれを許し難いほどオーストリア学派的だと見做し、限界における流動性選好との交点が金利を形成し、従って自然利子率は複数あり得る、と論じた。彼はまた、資本主義的な安定性を維持する金利が存在しない場合が多々