SFという言葉が何を指すかと言えば、通常は「サイエンス・フィクション」の略ということになっております。しかし実は他にもいろいろな解釈があって、例えば1960年代には従来のSFの意味を拡張した「スペキュレイティブ・フィクション(思弁小説)」という言葉が提唱されたり、近年では「ストレンジ・フィクション」と解釈する動きがあったり、はたまたここ日本では藤子不二雄による「すこし・ふしぎ」という珍しい解題もあったりします。SFというものが、長い歴史の中で多様なスタイルや内容を呑み込んで来たことの現れと言えるでしょう。 企画者が「最近なんだかSFが盛り上がっている気がするな」と感じたのは、国書刊行会からの「未来の文学」シリーズと、河出書房新社からの「奇想コレクション」シリーズが話題になり始めた2000年代中頃だったかと思います。単行本形式での、今までのSF小説のイメージとは少し違った装丁に包まれたこれら