核心の平田さんがビケティに違和感を覚えるのは、財政再建はすべてに優先するという感覚を持っているからだと思うよ。もちろん、財政再建は喫緊の課題だが、物事には限度がある。日本は暦年で1.5%強の成長の実績しかないのに、GDP比で1.5%もの消費増税をするとか、原油安だからと今年度も8兆円の緊縮になっているとか、やることが極端なんだね。 実は、リフレ派も似たところがあって、金融緩和はやればやるほど良いという感覚があるように思う。財政再建も金融緩和も、経済には役立つが、どんな薬も分量が多過ぎては、かえって健康を害してしまう。どの程度が適量なのかが決定的に重要なのに、それを素通りし、方向性の議論に終始するような「楽」をしてはいかんのだよ。 定量的な議論をするために、本コラムでは、補正、本予算、地方財政、公的年金と点検作業を積み重ねて来た。需要不足に対応するには、公共事業では無理が出るだろうと読み、消