『武器としての「資本論」』(白井聡 著)東洋経済新報社 マルクスの『資本論』から「商品化」「包摂」など重要概念を取り出し、現代社会を生き延びる知恵として、丁寧に解説した本だ。著者は『永続敗戦論 戦後日本の核心』などで知られる、気鋭の思想史家。 「小泉政権から現在に至るまで、多くの人々が自分に不利な結果をもたらす政策を支持することが不思議でした。そうした世の中の不条理を構造的に読み解く本を書いていただきたくて、著者にご相談したところ、『資本論』から現代社会の問題を考えるというアプローチの企画が生まれたんです」(担当編集者の渡辺智顕さん) たとえばマルクスは、労働時間を制限する工場法ができた真の目的は人道的配慮ではなく、あくまで労働者という搾取対象の再生産の維持だと分析する。著者は現代の「働き方改革」に、同様の構図を見て取る。 主な読者に想定したのは現役世代のビジネスパーソン、とりわけ、大きな
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