アボット首相が先日、「ノー・ジャブ、ノー・ペイ(no―jab no―pay)方針」なるものを発表した。簡単に言うと、「子供に予防接種をしない家庭に、政府は児童手当を払いません」という新しい計画だ。与野党が政策作りで常に対立するなか、今回は珍しく超党派の支持を得ているようだ。 新政策が実施されるのは来年1月からの予定で、健康上の理由を示さずに予防接種を受けない家庭は、税制優遇策や児童手当などが受けられなくなる。宗教上の理由もだめだという。手当などの総額は、子供1人当たりで最大年間1万5千豪ドル(約140万円)にのぼるそうだ。 資源ブームが去ったオーストラリアでは、緊縮財政が強いられている。これも財源捻出策のひとつなのだろうか。でも、モリソン保健相は「予算削減とは無関係。純粋な児童福祉政策であり、子供たちの健康のために決めたことだ」と強調している。それなら、なぜ、この時期に打ち出したのだろう。