お座敷に向かう舞妓さんの袖をつかまえる。宴席に出かける 車まで囲んで写真を撮る―。京都市東山区の花街・祇園町南側で近年、一部訪日客の乱暴な振る舞いが地元住民を悩ませている。一帯は花見小路通沿いにお茶屋など京都らしい建物が建ち並び、入洛する訪日客の約半数が訪れる人気スポットだ。しかし、私有地に無断侵入した撮影や伝統的な建造物の破損も相次ぎ、今や観光公害の象徴的な場所でもある。 「ここは常連のお客さんをもてなし、ほっこりしてもらう場で、観光のまちではない。舞妓さんはテーマパークのマスコットではないのに」。祇園町南側地区協議会幹事の太田磯一さん(56)はため息をつく。 【写真】訪日客に人気の竹林 タケノコの皮剥がされ無残 京の名所 「観光立国」を掲げる安倍政権は、来年の東京五輪に向けてさらなる訪日外国人観光客の呼び込みをうかがう。だが、国内屈指の観光地、京都では住民生活との軋轢(あつれき)が拡大