《貧困の読書、読書の貧困について》 ときどき、学生や院生が「この本は良い本ですか?」とか「読むべきでしょうか?」と相談にこられる。その時に、良い悪いを判断するのは君の役目じゃないのかね?と聞き返す。つまりこういうことだ、ひょっとしたら(僕の意見なしに)読んでみたら君にとってものすごくためになる本かもしれない、でも僕は「だめだよ」と言ってしまう。だとしたら、僕は君の未来の可能性を削いでしまう。逆もある、僕が良い本だといっても、君にはぜんぜん心に響かない。むつかしくて歯がたたないかもれない、あるいは簡単すぎて「先生は僕をバカにしたのかな?」と疑念がわくことだってある。君が、もう自分の責任で良い本か悪いものか判断できる証左だ。あるいは、良い/悪いは、人によって違う。つまり、各人にはイケてる本とイケている本があるわけで、それは良い/悪いという判断とは何の関係もないということだ。日本には図書館の本を