娘は事前準備に余念がないようだ。 妻の妊娠がわかってからというもの、赤ちゃんをお世話する遊びをやりたがる。そのため先日はオモチャの哺乳瓶も買い与えた。毎晩それを使って人形や私を赤ちゃんにみたて、お世話の予行練習を行なっている。 昨夜も私に「あかちゃんになって」と言ってきた。私はその場で横になる。そこから私は、所謂「バブバブ語」で話し始めるわけだが、ここには書くに耐えられない内容のため、私側の台詞は割愛して記すことにする。 「あら、みるくがほしいですか?ちょっとまってね」 娘はそう言いながら私に哺乳瓶でミルクを与えてくれる。3杯飲んでようやく泣き止んだ私に、娘は「ねんねしましょう」と言い、おもむろに本棚へと向かった。 とってきたのは私の分厚い国語辞典であった。娘はそれを絵本に見立て、私に見せるようにページを捲りながら、物語調のお話を聞かせてくれる。 「おんなのこがいました」 「はしっていきま