今週の最後の二日は東京で過ごした。デジタル環境の構成に努め、新たな知見を発信しようと真剣に取り組んでいる研究者たちとの交流が叶えられた。その後、これまで論文でしか知らなかった研究者から招待を受けて、待ち望んでいたボストン美術館展を見ることができた。 展示の質やスケールには、それなりに想像はしていたが、それでもさすがに圧倒される。展示は、曼荼羅など絵画作品で始まるが、さっそく平安時代の観音菩薩像に対面し、周りの観衆からはささやかな歓声が上がったぐらいだった。しかも前に進むにしたがい、奈良時代の曼陀羅が登場し、かつ文字資料のお経との対照、説明文入りの赤外線撮影による解説など添えられ、展示はただ本物を見せるに止まらず、教育にまで責任を背負った。その中で、地獄草子の断簡は、日本に残っていれば間違いなく国宝になるものであっても、サイズが小さいからだろうか、ほとんどの人はその前を素通りをしてしまうよう