学術図書の出版を助成する日本学術振興会の補助金が、2007年度から大幅に削減され、研究成果を本にしてきた出版社が苦境に立たされている。日本語書籍にすることで鍛えられてきた人文学・社会科学にとって、削減は発展の妨げともなりかねないという。 同振興会によると、学術図書の出版助成の予算額は、2006年度までは毎年6億8500万円で一定だったが、07年度には4億1200万円と4割も削減。昨年度と今年度はさらに減額され、3億5900万円になった。財政改革の中、学術図書とセットで予算化される学術定期刊行物、データベース作成の助成にムダがあると判断され、そのあおりを食った。また論文の英語化・デジタル化が進み、一部の理系学者の「日本語書籍」への無理解もあったという。 その結果、助成の採択点数が激減。06年度までは毎年350点前後採択されていたが、07年度から200点台前半になった。採択率も40%以上だった