コミュニケーションインフラとしての学会・図書館 引用を通じた学術コミュニケーションが適切に機能するためには、誰もが過去の知識に同じようにアクセスできるようになっていなければならない。 仮に同じ分野にいる同じ能力を持った2人の研究者のあいだで、特定の文献が入手できるかどうかに差があった場合、一方は他方の知らない知識に基づいて新たな知見を得る可能性がある。ここでの問題は、機会の不平等がそのまま成果の不平等を招くという公平性のレベルで議論することもできるが、さらに重要なことは、そもそも一方が知り得ないような知見は信頼性を判断できないため、「巨人」の一部として組み入れることが認められず、結果として学術の発展に貢献しないということにある。 この点において、研究成果を秘匿したり独占したりするメリットがないため、理念的には機会の平等が確保されやすい環境ではあるものの、社会システムとしてこれを実行するため