奥平准教授によりますと、最低賃金制度には「低賃金労働者に最低限の所得を保障する役割」が期待されているのですが、この労働コストの上昇が逆に、「企業経営の圧迫や失業の増加を招くのであれば、本当に社会にとって望ましい政策とは言えない」という序論から分析が始まっています。これについては筆者も大いに同意します。さて、政策の適切な運用の勘所はどこに所在するものなのでしょうか? まずは、奥平准教授の論説を取り上げた記事から次にまとめたいと思います。 最低賃金引上げにより人件費増加に直面した企業が、追加人件費を上回る追加的利益を得ることができない場合、その他の労働者の雇用機会や賃金上昇を抑制しようとするインセンティブが発生する 企業の人件費削減または抑制施策の対象となりがちなのは、まさに労働法が守ろうとする低賃金労働者と非正規雇用者である よって、最低賃金の引き上げが労働法の精神に準拠して、パレート最適に