世界で「最も売れた薬」の開発者 まず、初戦となる生理学・医学賞。同賞のキーワードは「創薬」だ。 近年になって、2018年にがん治療薬『オプジーボ』の開発につながる研究で本庶佑氏が受賞、2015年に抗寄生虫薬『イベルメクチン』を開発した大村智氏が受賞するなど、明らかにノーベル賞側が「医薬品」に重きを置き始めている様子が窺える。 実は歴史的に見れば、ノーベル賞は創薬研究に対しては慎重だった。大村氏以前となると、1988年に「H2ブロッカーの開発」と「抗ウイルス剤の開発」、さらにその前となると1957年の「抗ヒスタミン剤の開発」まで遡ることになる。 そんな中で近年、「医薬品」しかも「日本人科学者」に受賞が続いていることは、追い風と言えるだろう。 一人目の有力候補は、東京農工大特別栄誉教授の遠藤章氏(86歳)だ。 遠藤氏は、動脈硬化の原因となる「血中コレステロール値」を下げる「スタチン」を発見した