「Fintech企業の辻さんにはんこをお願いしてしまってすみません」とある銀行の担当者の方が、申し訳なさそうに僕に言った言葉です。 それを聞いて、こちらこそとても申し訳ない気持ちになりました。銀行関係の書類に、僕が押印を依頼されるのは当然のこと。誰も悪くないのに、気をつかわせてしまい、こちらも何となく悪いなと思ってしまう。 小さい頃から気がつけばはんこは身近にありました。夏休みのラジオ体操で、はんこがたまっていくのはうれしかったし、近所の駄菓子屋さんのスタンプも集めていました。 大人になってからは、はんこの種類が増えました。「ここには実印を、こちらは認印で大丈夫です。この書類には社印が必要です」もう、自分でどの書類にどのはんこを押しているのかさえ、分からなくなってしまう。 はんこって何のためにあるんだろう? はんこをめぐるルールが変わるイノベーションは、社会をより便利で豊かなものに変える力