◇なぜ「被害者意識」抱くか、この30年の歴史から探る 日本と中国、韓国の若者の比較研究などで知られる社会学者、高原基彰さんが、『現代日本の転機』(NHKブックス・1124円)を出した。なぜ日本では、特に若い世代が「被害者意識」とそれに基づく不満、不安を抱いているのか。この30年ほどの歴史を分析する中で、その答えを導いた。中国で研究を続ける高原さんが一時帰国した際に、本書について聞いた。【鈴木英生】 韓国や中国でも、若年層中心に「被害者意識」と言わなくとも、日本と似た若者の閉塞(へいそく)感、不安感がなくはない。「韓国で不安感を持つ人は、左翼に自己投影してデモに行くから、うっ屈しない傾向はある。でも、従来の左派、右派の言葉で表せない感覚を抱えた人は出てきている。中国の中産階級の若者にも、似た感じがあります。どの国でも、冷戦時の枠組みが言葉だけは残っている。人々は、その中でしかものを考えられず