軍関与を明らかにした史料が発見されるより前、1990年6月6日の参議院議事録に、従軍慰安婦への言及が存在する。当時の政府が持っていた認識と、問題視する側の意識がうかがえる。 参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第19号 ○政府委員(清水傳雄君) 従軍慰安婦なるものにつきまして、古い人の話等も総合して聞きますと、やはり民間の業者がそうした方々を軍とともに連れて歩いているとか、そういうふうな状況のようでございまして、こうした実態について私どもとして調査して結果を出すことは、率直に申しましてできかねると思っております。 この政府委員による主張は、吉見義明『従軍慰安婦』でも一部が引用されている*1。 まず、当時の日本政府が民間業者へ全ての責任を押しつけつつ、政府による調査を拒否していたことがわかる。未調査であるのに民間業者が行っていたと主張していること自体、責任回避を優先した態度というこ