社会的地位の高い人たちが、口を揃えて言う。 「子供を私立の小中学校に入れましょう」 どんなにレベルの低い私立でも、治安や進学率という点で公立校に比べればずっとマシだ。彼らの発言の根底には、自分の子供だけしあわせならそれでいい、という自己中心的な価値観がある。教育が「社会」の質を底上げするという大局的な視点が欠けているのだ。我が子がどんなに輝かしい学歴を手に入れても、世の中全体がめちゃくちゃになっていたら意味がない。公教育の質が悪いと嘆くのなら、その質をどう高めるか考えるべきだ。 「私学礼賛」はキモチ悪い。 「うちの子だけは……」という自己中心的な親たちがキモチ悪い。 なにより私学では、現代人としていちばん大切なものを学べない。 ◆ 白状すると、私学礼賛をキモいと感じるのは、自分の個人的な事情のせいだと思っていた。私は入口から出口までずっと公教育を受けてきた。家計的に私学に通わせてもらえる余