Film Comment Selects. NY, Walter Reade Theater at the Film Society of Lincoln Center. 黒沢清の映画は、画面を見ながらつい黒沢清のことを考えてしまう。時に映画そのもの以上に映画監督の身振りの方が気になってしまうのは、黒沢がどちらかというと批評からスタートしていて、観客である自分との距離が近く感じられるというだけじゃなく、映画が隅々までわざとらしく作られていて、そこに批評家(というかシネフィルというか)的なアイロニカルな手付きがプンプン匂うせいだ。実際この新作は何だか学生映画風、しかも黒沢初期の作品を思わせるというより、典型的な学生映画風の「技巧過多」と「情緒過多」という幼稚っぽい側面を誇張して「使いこなし」ながら、しかもそのスタイルでしか語り得ないことを語っていて、だから単なるパロディでも終わっていないし、