1年前、台湾のスマートフォンメーカー、宏達国際電子(HTC)は消費者に感動を与えていた。いまやその感動は失われ、存在するのは傲慢だけだ。 昨年は主力製品がヒットし業績は絶好調だった。海外のブランド調査会社は、HTCを世界のブランドトップ100にランクインさせ、そのブランド価値を36億ドルと評価した。これはイタリアのフェラーリ社を上回る。HTCはまさに天国にあった。スマートフォンの世界シェアは10%に上昇した。 だが、今年になるとシェアは5%台に低下。中国の中興通訊(ZTE)にすら0・5ポイント差に迫られている。天国と地獄は紙一重である。 今年2月、王雪紅会長と周永明CEOは、スペインに飛んだ。バルセロナで開催される携帯通信関連の見本市に参加するためだ。HTCは最新の設計、最先端の技術を駆使した「One」シリーズを出展した。そして高い評価を得た。 ところがこれが逆に作用する。HTCの