印刷 信託各行が開く遺言信託セミナーでは、相続への疑問や不安を担当者に相談できる=今年7月、大阪市内、りそな銀行提供増える遺言信託と相続争いの件数 相続に備えて信託銀行に遺言書を預け、死後の財産分配までを任せる「遺言信託」の利用が増えている。権利意識の高まりによる相続争いの増加に加え、テレビ番組などで遺言が身近になったことや、高齢化も影響しているという。東日本大震災をきっかけに若年層の関心も高まっている。 神奈川の60代の主婦は、子どものいなかった叔母が遺言を残さずに亡くなったため、アパートや土地など不動産の親類間での分配の差配や、複雑な手続きに苦労した。自分は資産家ではないが、「子どもにはあんな思いはさせたくない」と、このほど大手信託銀行と遺言信託の契約を結んだ。 信託協会(東京)によると、信託銀行が預かる遺言書は2010年度、10年前の2.3倍の7万2333件に達した。かつて遺言