こんにちは。 北品川藤クリニックの石原です。 今日は水曜日なので、 診療は午前中で終わり、 午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。 それでは今日の話題です。 今日はこちら。 医療系の研究者の前歴のある著者による医療ミステリーで、 第15回の「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。 「余命半年の宣告を受けたがん患者が、生命保険の生前給付金を受け取ると、その直後、病巣がきれいに消え去ってしまうー」 という現象が繰り返し起こるという、 人間消失ならぬ、がん消失という怪事件を推理する、 という話です。 選考委員が「まったく見当のつかない真相」 「史上最高の医療本格ミステリー」 などと真顔で公言しているので、 一体この謎がどのように解かれるのだろうと、 どうせ大したことではないのではないか、 と少しは思いながらも、 凡人の性で何となく気になってしまいます。 これはまあ、2つの謎があるのです。 い
フレッド・ピアス「外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD」草思社. 全体として本書は専門的な用語の定義や使い方に誤りが多く、そもそも「社会問題としての外来種問題」に関する基本的な部分に誤解があります。したがって導き出される考察や結論も誤りが多いです。唯一良いのはなるべく出典を示していることで、気になった事例を後で調べることができます。著者は丁寧に原典にあたって持論を展開しており、その点は「日本のトンデモ学者や適当ライター」の本よりはるかに真面目です。 ただ、この本のテーマはタイトルから見えてくるように「外来種は悪か?善か?」であり、「外来種は悪ではない、善だ!」と言う持論を普及したくて執筆したのでしょうが、そもそも農業用作物の多くは外来種(イネもジャガイモももう色々)ですし、世間的に問題にしている外来種というのは「侵略的なごく一部の外来種」だけであって、21世紀の現
イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る デービッド・アトキンソン著 講談社+α新書 忠言は耳に逆らえども…… 元ゴールドマン・サックスの金融アナリストで、現在、文化財修復企業、小西美術工藝社の社長を務めるという異色のイギリス人、デービッド・アトキンソンによる日本論。 外国人による日本論というと、概ね日本礼賛記事が多いが、このアトキンソン氏、かなり辛口。たとえば戦後の高度経済成長も、当時の状況(爆発的な人口増があり、同時に戦禍でインフラがなくなっていた)を鑑みれば、決して奇跡ではなく必然だったという分析で、日本人でしか起こり得なかったというようなものではないと一刀両断している。ま、聞いてみれば実に的を射た議論で、なるほどと思うが、多くの日本人にとってはこういう分析は不快で、「お前と話していると腹が立つ」などといわれることもあるらしい。 そのアトキンソン氏、先ほども言ったように、5年前から日本
図解 ピケティ入門 いちばんやさしい『21世紀の資本』の読み方 作者: 安田洋?出版社/メーカー: 彩図社発売日: 2015/04/24メディア: 大型本この商品を含むブログ (3件) を見る 各種の解説本の中で、まず他よりも大きな判型なのが特長。これで何がよいかというと、グラフとかを『21世紀の資本』から持ってくるだけでなく、そこに注目点をいろいろ書き込むことで、そのグラフの何を見ればよいかまで親切に説明していること。多くの人は、実はあまりグラフをまともに読めないので、これは嬉しい配慮。 全体の構成は、以前の標準解説本と同じく、見開きでポイントを解説、というもの。ただし、ぼくのアンチョコスライドの質問をちょっと改訂しただけでなく、フローとストックの説明といった基本的なポイントの説明もあちこち入れて、本当に入門書的な配慮がされている。ピケティ本についても、使われているデータの範囲(地理的、
The Bell Curve: Intelligence and Class Structure in American Life (A Free Press Paperbacks Book) 作者:Herrnstein, Richard J.,Murray, CharlesFree PressAmazon はじめに Bell Curve という本のことを聞いたことがある人は、それなりにいるだろう。でもその人々の90パーセント以上は、この本が遺伝決定論ごりごりで、黒人は生得的に知能が低いと述べる差別本だと思っている。なぜかというと……そう決めつける本がやたらに多いからだ。本書は発行された時点で、きわめて執拗なアンチキャンペーンにさらされてきた。変なベストセラーになったから標的にされ、標的にされたからまたベストセラーになり、というありがちなスパイラルのせいもあるんだけれど。 で、そのアンチキ
渡辺喜一郎『石川淳傅説』(右文書院、二〇一三年八月三〇日、装幀=臼井新太郎)読了。 「はじめに」に面白い話が披露されている。まだ流行作家となる前の石川淳が世話になった海老名雄二という人物がいる。著者は昭和四十年代末から度々海老名を訪問して石川のことを聞き出し、それを文章にして発表していた。 《その都度石川に送った。どうもその「伝記的研究」がいけなかったようだ。昭和六十一年二月に来た石川からの最後のハガキには「貴下の書くものが不快で氣に入りません」などと来訪などを断る文面であった。前年までの七通の"電文"のようなハガキはすべて好意的であったのに。》 渡辺は石川の逆鱗に触れた。それにしても昭和六十一年というと、石川は八十七歳である。まだ生々しい逆鱗が残っているというのも逆に不思議だし(ただし人が年齢を重ねると寛容になると考えるのは、考える方が間違っているのかもしれない)、それまでも研究者の作っ
法事をやんなきゃいけないってコトもあって、ニュースでもやってるケド、今、中国は春節(旧正月)の長い休みの最中なんで、一時帰国してるですね。 1月30日にズーズーしくもジェット機で北京経由で帰ってきたんだケド、(ところで、ワスは、『もうソレ知ってる』ってコトしか言わないケド)ホントに北京の空気は酷かったですよ。湖南省長沙市の空気もそこそこ汚れていて、2、3キロ離れた川の対岸の景色が霞んで見えるケド、その比じゃないもん。飛行機(ジェット機)が北京に着く時なんか、もう着陸だって言ってんのに全然地上の様子が見えなくって、高度を下げても下げても延々霧の中で、そりゃ、そーゆーふーに出来てる機会を、そーゆー訓練をした人が操縦してんのはわかってるケド、あんな中で、飛行機(ジェット機)離発着させるって良い度胸だよ、多分視界1キロ切ってて、ワスだったら車の運転だってオッカナくって、常時徐行運転ですよ。 帰って
ブロッコリーとレタスが相変わらず高いなあ。正確には、クリスマスを第一のピークとして12月の終わりから1月頭にかけて少し安かったんやけどまた第二のピークがやってきて高止まっとるなあ。 寒いんやが。なんとて寒い。雨はそれなりに降ってくれとるんやけど、とにかく寒い。そらブロッコリーはふくれんし、レタスは巻かん。ここ2~3年の厳しい冬になる傾向やけど、今年が一番寒いんとちがうん。え、そんなことないって?それは最近流行りのヒートテックなんかの発熱系のシャツのおかげさまを疑ってみてもええかもしらん。わしもあれ着て仕事するやろ。ほんだらちょっと動いただけでぬくんなって、気温の感覚がおかしくなるんやが。今日はぬくいな10℃はあるなと思って気温計みたら6℃とかな。ちょっと気をつけとかなトンネルなんかの温度管理で下手打つことになるかもしらん。 ちょっとブロッコリー産地の今の様子について説明するわな。わしらも大
●渡辺守邦氏の研究された、版本書誌学の実験とその成果が単行本となって刊行された。この成果は、一通りの調査意識からは生まれない。私なども、近世初期の版本をかなり調査してきて、表紙の裏側に別の本の刷ヤレには何度か出会っているが、何か別の本のヤレを補強に使用したナ、位で先に進んでしまっていた。そこに、ジッと目をこらし、その背後に鋭い視線を注いだのが、著者の渡辺氏である。 ●渡辺氏はこの紙背を見抜く視線の先から、これまでも多くの発見をされ、研究成果を得られたが、今回の文部科学省の科学研究補助金による研究「表紙裏反古を国文学研究資料して活用する方法の開発を目指す研究」は、それらを、客観的な研究方法として位置づけようとされたものである。敬服せずにいられない。 ●私は、渡辺氏の研究と、その成果に出会うたびに、天理大学の木村三四吾先生を思い出す。一冊の写本や版本を目の前にして、その資料をジッと見つめ、小さ
前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書) 作者:濱野 智史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/12/07メディア: 新書 ごみくず。この本の理屈なら、長島茂雄が自分のアレで「巨人軍は永遠に不滅です」と言ったことをもとに、長島茂雄はキリストを超えたという説だって書ける。主張はすべて、かろうじて必要条件はあっても、十分条件皆無なので、信者以外には一言一句たりとも説得力ないよ。アキバ48を押し立てれば尖閣問題も竹島問題も解決だとさ。やれやれ。前著は少しいいと思ったけれど、今後ぼくはこの浜野の書いたものは目に入れないようにすることにした。本もラオスに捨ててきます。こっちの古本屋に売って純真なバックパッカーたちの精神汚染を引き起こしてはいけない。 追記 そうそう、ぼくが本書でもう一つ耐えがたかったのは、もう本を捨てちゃったので正確には覚えてないが、序文の最
「田紳有楽」藤枝静男 田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫) 作者: 藤枝静男,川西政明出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/06/05メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 54回この商品を含むブログ (78件) を見る 稀代の私小説作家である藤枝静男の「田紳有楽」は、一部のSFファンからは、日本有数のSF短編であるという評価がなされている。スラブ文学者の沼野充義は、『SFマガジン』の600号記念オールタイムベスト日本短編部門第三位にこの作品を挙げており、また『しずおかSF 異次元への扉』(しずおかの文化新書、2012)には、岡和田晃が藤枝静男についての論考を寄せている。 一般的に私小説として見られる作品がなぜ、SFとして評価されるのか。「内宇宙」というものが、そこでのキーワードになるのだが、まずはこの小説と藤枝静男の世界がどのようなものであるのかを確認しておこう。 『田紳有楽』
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