これから変体仮名の字形例を一字ずつ紹介していこうと思う。毎日は無理だろうが、くじけず続ければ二ヶ月くらいで完了するはずだ。 第一弾は、あけましておめでとうの「あ」から。 いろは仮名の「あ」の字母は「安」。同じ字母から、まだ冠の形が残る字形が変体仮名として挙げられる。 これは印刷局の二号、三号、四号の活字。 「あ」の変体仮名で最も多いのは「阿」を字母とするもの。 これは築地活版製造所の二号、三号、四号の活字。 鋳造活字は以上の二種類だが、書道系の仮名手本では、「悪」「婀」「亜」を字母とするものもある。 住基変体仮名で「あ」は三種ある。 「安」は冖冠を意識した形にしたいが住基では「つ」のように流れてしまっている。 「阿」は旁の可の横画がおかしい。 三字目は「愛」を字母とするもの。草仮名で、「愛」の草書そのままの形でいいのだが、住基のac02はなぞり書きのようなたどたどしさがいただけない。