8月のヨーロッパは、バカンスの季節。私が住んでいるミュンヘンでも、多くの市民が旅行に出ているので、朝夕の地下鉄やバスが空いている各国の議会が閉会になるため、政治家、官僚、ジャーナリストたちもこの時だけは、まとまった休みを取る。この時期を、ドイツ語でSommerloch(夏の穴)と呼ぶ。ニュースが減って、新聞が一段と薄くなる時期である。 だが明るい夏の日差しも、ヨーロッパに漂う不安感を拭い去ってはくれない。ヨーロッパ各国の政治家や市場関係者の間では、「今年9月がユーロ危機の天王山となる」という見方が強まっている。 その理由は、3つある。 1)EUや国際通貨基金(IMF)などの監視団「トロイカ」が、ギリシャの経済改革や緊縮策の進捗状況について報告書を発表する。EUとIMFはこの報告書に基づき、ギリシャに3兆円近い金を振り込むか否かを決定する。 2)スペイン政府がEUに対し、救済を正式に申請する