上流工程にはいくつかの作業が含まれるが、それらの呼び名は案外いいかげんだ。「基本設計」が「概要設計」と呼ばれることがあるし、「基本設計・詳細設計」の組み合わせが「外部設計・内部設計」と呼ばれることもある。 そこらへんの違いは、かつて日本のシステム開発会社がメーカー系列毎にブロックを成していて、それぞれが異なる用語体系を用いていたゆえなのだが、案外それで問題は生じない。呼称が違っていても概念のマッピングが容易だからだ。 ややこしいのは、同じ呼称が異なる意味で使われるケースだ。 昔、その日初めて会った技術者が「要件定義」のスケジュールについて話していた。彼によると「要件定義」に3ヶ月かけるという。奇妙に思って成果物を尋ねてみると、データモデルが含まれているという。つまり彼は「(私の言う)基本設計」や「上流工程全体」について話していたわけで、それはそれでわかる。そのように「要件定義」を用いる例は